鍼灸師になる方法。どうすれば鍼灸師になれるか。現役鍼灸師が解説。
鍼灸師になるためにはどうすれば良いか?ネットで調べている中でこのブログに行き着いた方もいらっしゃるでしょう。ありがとうございます。私は、10数年前に鍼灸師となりました。現役の鍼灸師としてこれから鍼灸師を目指す人、鍼灸師の資格取得に興味のある人へ私の体験談を含め為になる情報を発信していくので、参考にされて下さい。
そもそも鍼灸師とは?
そもそも鍼灸師とは何か?日本での鍼灸師の定義は以下の通りです。
鍼灸師(しんきゅうし、英: Practitioner in acupuncture and moxibustion, Acupuncturist and moxa‐cauterizer)は、 はり師ときゅう師の国家資格を所持している者を指す。はり師ときゅう師は別の国家資格であるが、同じ鍼灸師養成施設で単位を取得し卒業することで両者を受験できる。 鍼灸師という名称は、現在の法制度上では存在しない。
はり師(はりし、英: Acupuncturist)は、「あん摩マツサージ指圧師、はり師、きゆう師等に関する法律」によるはり師国家試験に合格した者をいい、きゅう師[1](きゅうし、英: Moxibutionist)は、「あん摩マツサージ指圧師、はり師、きゆう師等に関する法律」によるきゅう師国家試験に合格した者をいう。
※引用元:鍼灸師 - Wikipedia このリンクを見て頂くとわかりやすいです。
鍼灸師と一言で括られていますが、資格としては2つの国家資格を総称して鍼灸師と呼びます。
「はり師」、「きゅう師」この2つ国家資格を私も10年前に取得しました。
正確には「鍼灸師(しんきゅうし)」という資格はないわけですね。
もちろん稀にですが、「はり師」だけしか受からなかった、「きゅう師」だけしか受からなかったという人もいます。
養成施設に通わなければ鍼灸師にはなれない
鍼灸師になるにはいくつかのステップ、ハードルがあります。
- 鍼灸師養成施設に入る。(最低でも3年)大学や専門学校。
- 養成施設を卒業する。
- 「はり師」、「きゅう師」のそれぞれの資格の国家試験を受験し、合格する。 ※あん摩マッサージ師もはり師、きゅう師と同じ養成施設にて単位を取得すれば受験資格を付与され、合格することで資格を取得できる。
おおまかにはこのスリーステップとなります。
鍼灸師養成施設(専門学校、大学)
鍼灸師になるための養成施設(専門学校、大学)は、全国に点在しております。2022年現在での養成施設一覧は以下のリンクをご覧ください。
大学・専門学校一覧 | 医道の日本社(公式サイト)~鍼灸、漢方、マッサージ、指圧、東洋医学~
※あん摩マッサージの資格取得も目指されている方は養成施設選びは要注意です。「あん摩マッサージ師」、「はり師」、「きゅう師」を合わせてトリプル資格なんて呼ぶこともありますが、あん摩マッサージ師の資格取得可能な養成施設は限られていますので、養成学校一覧をよくご覧下さい。
これには理由があって、目の不自由な方の職域を奪う可能性があるということで、無暗やたらに養成施設にあん摩マッサージ師の学科を設置しないと私は聞いたことがあります。
養成施設での生活や授業内容
私が養成学校で過ごした4年間のリアルな体験談を綴ります。
私は珍しいタイプの養成施設出身で4年制の専門学校でした。ほとんどの専門学校が3年制ですが、私の卒業した専門学校はプラスアルファで他の資格も取得できるということで余裕のある4年でした。
ちなみに私はその1年を有効活用して「登録販売者」という一般用医薬品を販売できる資格取得に尽力しました。大学は4年制です。
授業について
授業は1コマ90分です。(だったはず・・・笑)日によって2コマとか3コマとか違ったはずです。
私の学校は「平日午後」のみの授業でした。夜間授業ももちろんありましたので自分のライフスタイルで午後か夜間かのクラスを選択します。
私は午前中と夜間に仕事をしながら学校に通いました。この4年間は相当な覚悟とタイムスケジュールで日々を過ごしていたことを思い出します。
授業内容
授業は座学もあるし、もちろん実技もします。
内容としては、東洋医学的な勉強、西洋医学的な勉強、両方行います。
経穴(ツボ)についてや解剖学、生理学など幅は広いです。
そして高学年になると実際に専門学校に併設されている治療院で有料の施術を行い、技術を研鑽します。
もちろん養成学校の先生は鍼灸師の資格が無いと養成学校の先生にはなれませんので、有資格の免許の下、治療院の開業をしています。先生方の監督の下、指導を受けつつ生徒が施術をするので理解のある患者さんでなければ受けたくないでしょう。
学生時代に私の施術を受けた方、その当時は申し訳ございませんでした。笑
養成施設を卒業して(卒業見込み)初めてはり師、きゅう師の受験資格を得られる
養成施設は自動車(車)の運転免許証でいう教習所のようなものです。自動車の運転免許証取得は教習所を卒業した後に免許センターでマークシートの試験を受けて受かれば免許交付ですよね。あれと同じです。
養成施設、要は専門学校や大学での卒業(実際、国家試験は2月なので卒業見込み)認定を受けた後、「はり師」、「きゅう師」(場合によってはあん摩マッサージ指圧師も)の国家試験を受験し、合格ラインに達すれば晴れて「はり師、きゅう師」と名乗ることが可能ということです。
自動車教習所と同じで実技試験は国家試験には含まれていません。
養成施設での卒業試験に実技も含まれていて、国家試験そのものはマークシート方式(4択)のもののみです。
ですので養成施設を卒業しても国家試験に受からないという事例は多いようです。
これは鍼灸師に限らず、医療系の国家資格に関してはあるあるでしょう。
ですので国試通らないと日本の日本の場合だと仕事として鍼灸を行うことはできません。
はり師、きゅう師の合格ラインは何点?合格率はどれくらい?
はり師、きゅう師の国家試験の管轄は厚生労働省です。以下のリンクから「あん摩マッサージ指圧師、はり師、きゅう師」の合格基準の点数、合格率がわかります。
第30回あん摩マッサージ指圧師、はり師及びきゅう師国家試験の合格発表について|厚生労働省
厚生労働大臣指定試験機関である公益財団法人東洋療法研修試験財団が試験を作成しております。
はり師、きゅう師国家試験の試験科目、配点等
はり師、きゅう師ともに以下の科目が共通科目としてあります。
1問1点です。トータルで160問で科目ごとの出題数は年によって異なります。
そして13科目目として、はり師であれば「はり理論」。
きゅう師であれば「きゅう理論」という科目も合格基準を満たさなければならなかったはずです。
要は、160問(共通科目)+10問(はり理論)or10問(きゅう理論)=合計170問で60%以上の合格点である102点取れないと合格ではありません。
ちょっとわかりずらいですが、鍼灸師(はり師、きゅう師のW資格)になりたければ3つハードルがある感じです。
ハードル1
まず共通科目160問で96点以上取らないとそもそもダメ。
ハードル2
「はり師」の専門科目「はり理論」単独で6割取らないとダメ。10問なので6点。
ハードル3
「きゅう師」の専門科目「きゅう理論」単独で6割取らないとダメ。10問なので6点。
このハードルがあるのでまれに「はり理論」だけ受からず、「きゅう理論」だけ受からずという人がでるので「鍼灸師」と名乗れず、「はり師」です。「きゅう師」です。と名乗ることしかできない方が出てくるわけです。
鍼灸師になる方法まとめ
いかがだったでしょうか?鍼灸師になるためにはいくつかのステップ、ハードルを越えていかなければならいことがご理解頂けたと思います。
- 鍼灸師養成施設に入る。(最低でも3年)大学や専門学校。
- 養成施設を卒業する。
- 「はり師」、「きゅう師」のそれぞれの資格の国家試験を受験し、合格する。 ことがほぼ全てです。
また個人的には鍼灸師になり国家資格保持者となってからがスタートだと鍼灸師になった今痛烈に感じます。18歳で高校卒業後に鍼灸師を目指して養成施設に入る人より、働きながら社会人として養成施設に入る人の方が多い業界です。私も働きながら専門学校に行きました。睡眠時間を削り勉強し、色んなプレッシャーを受けながらもなんとかやってきました。今から鍼灸師を目指す方、ぜひ頑張って下さい。すべて自分次第です。個人的に質問も受け付けております。何かお問い合わせがあれば下記のメールまでご連絡下さい。私の体験の範囲内でお答えできることもありますのでご活用ください。
E-mail:kurosu.mox.acu963@gmail.com